文化創造センター図書室(波賀町) |
前回の続き…
前回のブログで総合計画策定に対するリクエスト…というところで終わっていたのでその続きを書きたいと思います。審議会を傍聴していて、また議会(総務文教常任委員会)で市の担当者からの報告を聞いて感じていることを率直に書きます。それは、今審議されている素案が行政主導で作成されていると言う前提に立ってのことです。(間違っていたらスミマセン…)私は審議会は素案を評価する会議ではなく、総合計画を “策定” するための会議だと思っていましたので、素案自体を審議会で作って欲しいと思っていました…。その素案をもとに行政が計画の体裁を整えるような感じでしょうか?
条例には、『宍粟市総合計画の策定に関し総合的かつ専門的に審議するため、宍粟市総合計画審議会を置く。』とか、『審議会は、宍粟市総合計画の策定に関し必要な重要事項を調査審議する。』と書かれていますので、守備範囲が広範囲でかつ抽象的…審議会の場で何が話されているのか?何を言って良いのか?どんな意見が求められているのか?この場で何が決まっていくのか?など、審議に関わる市の職員も委員も “暗中模索” のような印象を受けるのです。これはとてもしんどい作業では?本来、何か新しいものを作る創造の過程は、ワクワクすると思うのですが(これも私の価値観と言えばそうですが…)それが感じられない(伝わってこない)のはとても残念なことです。市民がこういったプロセスに参加し、ワクワクしながら新しい価値を創造できる…こんな “まち” は、住んでみたい!住んで良かった!住み続けたい!っていう “まち” だと思うのですが…。別に私自身がこう言った計画の策定、行政の評価などに長けているなんて思っていませんので、“市民” としての意見だと思って聞いて頂ければと思います。(もちろん議員として、伝えるべきところには同じようなことを伝えます。)
ボタンの掛け違い
先ほど、暗中模索という言葉を使いましたが、その原因は、ボタンの掛け違い…だと思います。まず、10年後の宍粟市がこんな “まち” だったら良いのになぁ〜というイメージが共有されないまま、基本目標、基本方針、基本施策、まちづくり指標を含めた素案が提示されてしまっていませんか?目の前にある程度形作られたものが現れた時点で、審議=評価になってしまうのではないでしょうか?10年後の “宍粟市” って…子ども達にとっては?農業や林業の従事者にとっては?観光産業に携わる人は?お年寄りにとっては?…性別、年齢、職業、居住地などなど多様な意見を審議委員の方が出し合うことから始めていないことが “ボタンの掛け違い” と思った理由です。ここがたくさん議論のテーブルにのれば、基本目標→基本方針→基本施策と具体的にして行きやすいと思いますし、ワクワクしませんか?そして、目指すまちに向っているかを測る指標、“まちづくり” 指標は、こんなふうに思う市民が増えたら良いよね〜とか、宍粟の特産品がどんどん売れてくれれば良いよね〜とか、図書館にたくさんの人がいるまちが良いよね〜とか…勝手に出てくると思います。審議委員の方々は、自分の立場で(または市民の思いを推し量って…)理想の “まち” を語って頂くと言う最大の役割をさせてもらえてないのではないでしょうか?そうすれば小委員会の枠組みももっと違ったものになった気がします。いつの間にか行政の枠組みにはめ込まれてしまっています。
10年後の宍粟市は?
全部の審議資料が手元にあるわけではありませんので何とも言えませんが…今回の素案の体系は、10年後のまちの姿『…』ー基本目標ー基本方針…基本施策(ここにまちづくり指標が設定されています。)というツリー構造です。10年後のまちの姿(=大目標としておきます。)…第1次総合計画の10年では『人と自然が輝き みんなで創る 夢のまち』だったかと思いますが、これは今回の総合計画にも継承されているのでしょうか?それとも新たな旗印となるフレーズがあるのでしょうか?もし、最後にここを決めるのであれば、それはとてもナンセンスなことです。(市役所の庁舎に書いてあるからコレで行こう…なんて思っているとしたらもうおしまいです…)10年後のまちの姿っていうのは、チョット遠すぎるので5年で基本計画を区切っています。また、基本目標を束ねたものが大目標ではありません。別の言い方をすれば、大目標は山の頂上…登山口が基本目標って感じでしょうか?市民がそれぞれの立場でいろいろな登山口から10年間かけて一つの頂を目指すというイメージです。一体頂上はどこなのか?がボヤーッとしていて、どこに向って、どれだけ歩いたのかがわからないとその道のりは単なる “苦行” です。総合計画は、市民が共有する登山地図&行程表です。どんな山に登ろうとしているのでしょうか?これは、市長の公約とも直結する部分ですので、市長がそこをハッキリさせないといけないのかもしれません。(もちろん議会もなのですが…)
まちづくり指標について
いろいろ言ってきましたが、もうここまで(夏にパブコメ、9月に議会に上程…)来てしまっているので、今さら感は否めません。そこで “まちづくり指標” ならば、これからどうにでもできるという可能性を信じて最後にいくつかリクエストを…。
まず、○○に対する市民の満足度という指標について、私の考えを書きます。これはアンケートの時点でも感じたのですが、どう答えて良いか分からないとても抽象的な表現です。例えば農業の振興という基本施策のまちづくり指標、「農業の振興」に対する市民の満足度…平成25年のアンケートで6.8%、5年後の平成32年にこれより増加?これは市民の6.8%しか満足していないのではなく、どう答えていいのか分からないのだと思います。農業従事者、農業振興を担う団体、農産物の消費者、農産物を売る観光施設…それぞれで満足する視点が違いますよね。市民として考えた時には、「地元の農産物が美味しいと感じる市民の割合」とか「地元の農産物が手軽に手に入ると感じている市民の割合」など、“住民意識” に着目してみたらどうでしょうか?これならアンケートにも答えやすと思いますが…。
また、人数を測る指標は、人口減が予測される状況、そして人口密度が地域によってバラツキがある宍粟市では、その対象エリアを細分化し、そこの人口に占める割合を測る方が良いと思います。現状維持を目指すような指標は、本当にそれで良いのか?から疑ってみてください。現状では、多くの人が豊かではない、充実していないと感じている分野で、もし現状維持という目標設定であったら、それで良いと言える根拠を探ってください。参加者数のような指標は、参加しようにも機会に恵まれないとか、地域によって回数や時間に差がある場合がありますので、ここも対象エリアを細分化し、単位時間や日数で測ってみたらどうでしょうか?そして、現在地がわからない指標…これは厄介です。5年間は目標を持たずにとりあえず進む?これは最悪です。分からなければ調べれば良いだけです。
まだまだ “まちづくり指標” については、いろいろ言いたいことがあります。それは市民としても、議員としてもです。ここが明確かどうかが市役所職員を含め、市民のまちづくりに対する意欲に繋がると思います。目指す頂上さえ間違わなければ、登山口も登山道も違って良いのです。進み方もそれぞれのペースで良いのです。途中で道に迷っても分かるところまで戻って、また登り始めれば良いのです。途中でリタイアしそうなメンバーを周りがフォローすれば良いのです。しんどくなったら休憩すれば良いのです。
何かとりとめもない話になってしまいました。伝わるのか伝わらないのかも分かりませんが、最終的に議決しなければならない立場から、市民の想いが詰まった計画であって欲しい…ただそれだけです。そして、「市民の参画で計画を作りました」という行政のアリバイに使われて欲しくない…。これも正直な気持ちです。