2016年3月25日

3月議会閉会【報告】

宍粟市もすっかり春…。しかし、山の方では、雪がちょっとだけ積もったみたいです。本日、25日に第68回宍粟市議会定例会(3月議会)は、閉会しました。

お知らせ
 特に皆さんにお知らせしておきたいことが幾つかありますのでこの場を借りて…。今回は、第1号議案「人権擁護委員候補者の推薦について」から第52号議案「定住自立圏の形成に関する協定の締結について」までが上程されました。議員発議として、議会広報特別委員会を「広報広聴常任委員会」にする委員会条例の一部改正、第7号議案「宍粟市 長寿祝福条例」に対して修正案(賛成少数で否決)、第25号議案「宍粟市立幼稚園設置条例の一部改正」に対して修正案(賛成多数で可決)が提出されました。また、12月から継続審査になっていた第99号議案「宍粟市手数料条例の一部改正について」は、委員会で全会一致で否決後、市長が議案を撤回するという前代未聞の事態もありました。(経過からすれば、単に “否決” されるのを回避し、体裁を取り繕うための行為にしかみえません。一体、何を恐れているのでしょうか?)また、平成28年度の予算に係る12議案は、全て “原案可決” という結果でした。
 
私自身の意志 
 私自身は、第7号議案第25号議案の修正案に“賛成” と、第17号議案「宍粟市議会議員の議員報酬及び費用弁償等に関する条例の一部改正」(=議員の期末手当を上げるための条例改正)、第18号議案「宍粟市特別職の職員で常勤のものの給与及び旅費に関する条例の一部改正」(=市長、副市長、教育長の期末手当を上げるための条例改正)、その増額分がのっかった第32号議案「平成27年度宍粟市一般会計補正予算(第4号)」、そして、追加議案だった第52号議案「定住自立圏の形成に関する協定の締結について」に “反対”しました。 それ以外は原案に “賛成” としました。
 まず、第7号議案「宍粟市 長寿祝福条例」は、私が委員長をさせていただいている民生生活常任委員会に審査付託され、支給の基準日が9月1日になっていることで、88歳を迎える同学年の人の中に差が生じることは “長寿祝福” という観点でなんとかしなければ、できれば88歳になったと同時にお祝いできないかという点に議論が集中しました。委員会の中では、どうしたらそこが解消できるのかの案が出し切れずに原案可決ということになってしましました。しかし、本会議でそこを解消する良い修正案を出していただいたので、私も賛成しましたし、同学年の人の中に差が生じる問題の解消を強く主張していた議員も賛成するものと思っていたのですが、修正案反対に回ってしまい修正案は否決となってしましました。おぃおぃ…あんたの主張にみんなが同調し、修正案まで作ってもらっておいてそれはないでしょ…。党議拘束(政党の決議によって党議員の表決活動を拘束すること)恐るべしです。一体何がしたいのでしょうか?
 次に第25号議案「宍粟市立幼稚園設置条例の一部改正」は、原案では、休園となっている幼稚園、しかも地域の要望によって公有財産のまま目的外使用をしている幼稚園を廃止しようとすることが主な内容でした。そして、この廃止しようとする幼稚園は宍粟市で唯一、3歳児教育が条例に明記されていた幼稚園です。(休園中は、同じ小学校区の別の幼稚園で、区域外通学&実施要綱によって3歳児教育が行われていました。)公有財産の目的外使用について、教育委員会は「地方自治法上も何の問題もない。」との見解だったはず…。しかし、ここにきて「年度末に廃止するのが良い」との理由で廃止条例を提案してきました。もちろん、3歳児教育に関する但し書も全て削除するという理解ができない案でした。条例に3歳児教育を明記してほしいというのは、地域住民の願いです。なぜなら、区域外通学&実施要綱によって行われている3歳児教育は、『幼稚園・保育所の一元化の推進について地域の方向性が決定してから幼児教育及び保育を一体的に提供する施設(以下「幼保一元化施設」という。)が整備されるまでの間、当該地域において3歳児教育を実施する…』という、3歳児の教育を受ける権利とは全く別の観点で実施され、いわゆる政争の具(=政治上の主義・主張についての争いに勝つための目的で利用する事柄や手段)、幼保一元化(市内の公立の幼稚園・保育所をすべて廃止し、社会福祉法人による認定こども園のみにする)という政策の交渉カードに使われているという不健全な状態、市長の一存で吹けば飛ぶような要綱という不安定さを解消してほしいという極めて真っ当な願いです。(私はその主張に賛同しています。)今回出された修正案は、現在要綱で実施されている幼稚園での3歳児教育を、しっかり条例に明記するものでしたので、“賛成” させていただきました。第25号議案は、賛成9:反対8で、“修正可決” となりました。長い道のりでした…。

 第17号、18号、32号、52号の “反対” の理由は、長くなるので改めて報告します。私の意志以外に “議会” に対して言いたいことが山ほどあります…。木々が芽吹いて新しいスタートって感じの “春” ですが、花粉の季節でもあります。花粉症の方には憂鬱な季節ですね。私は、「んっ?もしかして花粉症…」という感じはこれまでも度々ありましたが、特に苦労なく “春” を満喫しています。明日は日帰りで東京へ「地域包括ケアシステム」の研修会に参加してきます。明後日は、多可町のマラソン大会です。身体がもつか心配ですが、無理をしてでも吸収するべきことは吸収して、前に進もうと思います。 

2016年3月20日

批判の真意【雑談】

 
現在、3月議会の会期中(3月1日〜25日まで)です。先日、11日にはほとんどの議案の採決が行われました。ほとんど「原案可決」となりましたが、一つだけ25号議案「宍粟市立幼稚園設置条例の一部改正について」が “修正可決” されました。これには市民にも賛否があると思いますが、私は修正案に賛成させていただきました。残るは新年度予算と追加議案(「定住自立圏の形成に関する協定の締結について」)のみとなっています。
 新年度予算については、今回初めて会派代表による質疑が行われました。これまでは個々の議員が通告をし、質疑を行っていましたが議長を除く17名の議員のうち、質疑を行っていたのは2〜3名のみ、いつも決まったメンバーでした。私もいつも質疑に立っていましたが、いろいろ邪魔をされることも多く嫌気がさしていたところです。(「そんなの質疑じゃない!議員なら知っていて当然のことだ!」ですって…。)今回は、会派を代表して質疑に立たせていただきました。合併を機に市長と議員は同日選挙できています。平成25年5月の選挙で市長、議員になった私たちにとって任期中に執行を見守ることができる最後の予算となります。(任期中に決算まで見守れるのは26年度、27年度の2年分しかありません。また、決算を予算にいかすという流れでいけば、1期目の市長、議員にとっては実は26年度決算を28年度予算にという流れしかないのです。)市長マニフェストで言えば、仕上げ予算と言っても過言ではありません。国からは地方創生戦略、人口ビジョンの策定が求められ、このタイミングで国勢調査の結果が発表される…この28年度というのは、宍粟市にとって大きな分岐点です。そして、その自覚が首長、議会にあるのかどうか?宍粟市の将来を方向づける責任、その責任を取りきる覚悟があるのか試されているように思います。

予算質疑
 私は予算質疑の中で、15項目の質問をしました。どれも市長が行政庁のトップとして、どんな考えがあるのか?それが予算、また財政計画にどう反映されているのか?宍粟市をどんなまちにしようとしているのか?つまり、質疑と答弁を通して、政治信念、政治哲学を大々的にアピールしてもらいたいという意図がありました。それは、市長にしか予算提案権がないこと、市長は行政庁のトップとして選挙で選ばれていること等を含めて、頑張ってもらわなければ困るからです。だから質問に的確に、具体的に答えてくれさえすれば良いのに、絶好のアピールの場から自ら退場してしまったように感じました。何度も言っていますが “批判” は、否定ではなく、相手が気付いていないと思われる別の視点で物事を指摘することであり、それに的確に反論してもらうことで、相手の考えていることがくっきりしてくるものです。以前、どなたかが講演で、手元にあったペットボトルを例にそのことを説明していました。ペットボトルって真上や真下から見れば、ただの丸です。視点をずらして初めてペットボトルだと認識されます。どれくらい中身が入っているのか空っぽなのか、中身は何なのかも、真上や真下から見ただけではわかりません。横から見たり、振ってみたり、蓋を開けて匂いを嗅いでみたり、ラベルを読んでみたりしてそのものが認識されていきます。今回、予算質疑の中でそれを試みたのですが、それは不発に終わりました。残念なことです。

これからの流れ
 予算審議を集中して行う予算委員会は、すでに終了しました。その報告を受けて、23日午後から予算決算常任委員会での審議、25日に本会議での討論、採決となります。インターネットライブ中継、ケーブルテレビ(しそうチャンネル)と音声お知らせ装置(しーたん通信)で生中継されます。是非とも審議を見守っていただきたいと思います。そして、来年の選挙の参考にしてもらいたいと思います。しかし、最も人口、有権者の多い地区の「しそうチャンネル」加入率が低いというのも皮肉なものです…。

我田引水【雑談】

 
だいぶ暖かくなりました。宍粟市でも、高校、小中学校、幼稚園、保育所、子ども園と “卒業式” や “卒園式” が行われています。進級も含めて、次なるステージに進む子どもたちに心からエールを贈ります。一方で、大人(特に議員)としては、明るい未来を準備する責任を痛感しました。心から「おめでとう!」と言える状況なのか?進んで行く先は理不尽で、個人的な努力だけでは除去できない、乗り越えられない障害が待ち受けてはいないか?みんなが少しずつ出し合って、みんなが暮らしやすいまちを創るための税金が(どう見ても弱者ではない)一部に偏って使われていないか?大人の都合で、子ども達の権利が奪われてはいないか?卒業式や卒園式に参列し、いろいろ考えさせられました。ウルウルくる感覚は年々増していますが、どうもその背景は、子ども達に申し訳ないという気持ち、それでも「おめでとう!」と言っている自分に対する悔し涙なのだと実感しました。(まぁ、自分が社会に影響を与えられる存在ではないことは十分承知していますが…。でも責任はありますよね?)

我田引水
 「他人のことを考えず、自分に都合がいいように言ったり行動したりすること。自分に好都合なように取りはからうこと。自分の田んぼにだけ水を引き入れる意から」(出典:新明解四字熟語辞典)。政治の “治” という字…さんずいがつくので水に関係があるのでしょうか?字の成り立ちを詳しく調べたわけではありませんが、どうも稲作、水田、水利権と、“政治” には大きな関係があったようです。年貢という税金、それを生み出す水田に水を引き込む権利をどう調整するか?、年貢として集めた米をどう分配し、その地域を豊かにするかといったことは、政治の本質部分です。
 現在の地方自治を見てみると、課税をする権利、予算提案権がある首長(行政)と、税の使い方を始め、条例などを決める議会があり、その両方を選挙という形で選んでいます。権力分立(=権力が単一の機関に集中することによる権利の濫用を抑止し、権力の区別・分離と各権力相互間の抑制・均衡を図ることで、国民の権利・自由の確保を保障しようとするシステム)という視点で見ると、国では行政権(内閣)、立法権(国会)、司法権(裁判所)の三権を分立させていますし、地方では、議会に司法権に似た調査権、条例(法)の提案権は、首長(行政)と議会に(ただし、議決を経ないと条例は効力を持ちませんので議会の立法権の方が強力です。)行政権は首長(行政)が有していますが、国とは違い首長を選挙で直接選ぶというところに特徴があり、選挙を通じて民意が行政に反映されることになっています。

権力の劣化
 地方分権の流れで、首長と議会の権限は拡大されました。それに伴って責任も拡大しています。その自覚がある自治体とそうでない自治体では、住民生活に差が生まれます。首長が我田引水に走ったら、議会がストップをかけることができますが、国の内閣と議会の関係と地方の違いを理解していない議員が多いまちでは、完全な独裁政府が出来上がります。水が地域の隅々にまで行きわたらないのに、年貢はどんどん納めろと迫られる…しかもこれまでの悪政の影響で、年貢の量もどんどん増える…。年貢は弱者に還元されず、強者にどんどん蓄積されていく、または地域外にどんどん流出する…。それに嫌気がさした住人はその地域から転出していく、少子化も同様…。この循環から抜け出すには、“教育” しかないと思います。教育の成果は “政治” に反映します。しかし、権力者は、教育が充実することによって、適切な判断ができる選挙民が増えたら困る(自分たちの無能さに気づかれてしまう)と思っているのでしょうか?知る権利や教育を受ける権利が脅かされ、愚民化政策が進行していく…そんなまちに将来はありません。

新年度予算
 予算の提案権は市長(行政)にしかないことを前提に…。3月議会では、新年度予算が審議されます。しかも、宍粟市では、25年5月に新市長が誕生しているので、任期中に執行を見守ることのできる最後の予算、つまり仕上げ予算との性格が強いはずです。しかし、一体何がしたいのか?人口減を食い止める気はあるのか?自分たちの保身のためだけに税金を使う気なのか?弱者をどう支援しようとしているのか?地域のお金を地域外に流出させている責任をどう取るおつもりなのか?不可解な予算です。国、県が上位団体だという呪縛…そろそろそこから脱却しないと大変なことになります。合併後15年…交付税の一本算定、合併特例債の発行期限まであと5年…。来年5月まで私たちの任期も残り1年です。どこまでやれるか、勝負の1年です。