宍粟市では、卒業式も始まり、高校、中学、幼稚園の卒業、卒園式に参列させていただきました。来週は小学校で卒業式です。参列していつも感じること…それは「この子たちに輝く未来が準備できているか?」ということ。それは、お膳立てということではなく、自分たちの意思で、可能性を広げ、自己実現できる社会が準備できているかということ…大人の都合で理不尽な障壁がないかということ…。この辺りは、地域間の差が顕著ですし、考えさせられます。“街頭演説” も7ラウンド目を終えましたので、その内容をここに記しておきます。
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私は、宍粟市の大きな転換点は、2020年にあると考えています。宍粟市が山崎町、一宮町、波賀町、千種町の4町が合併して誕生したのが2005年、平成17年ですので、合併から15年後に大きな転換点がきます。何の転換が求められているか?それはお金の使い方です。これから4年間のお金の使い方を間違えれば、宍粟市は一気に消滅に向かいます。これは断言できます。国も県も助けてはくれません。「その時になったらなんとかなるでしょ」と気楽に構えていられる状況でもありません。
合併は、国の地方分権の流れの中で進められてきたものです。国は地方交付税の優遇措置と、合併特例債という有利な借金の仕組みを地方に示し、合併を進めました。当時、お金の面で困っている市町村や将来に不安を抱えている市町村が大半でしたので、大きな市が周辺の町を吸収したり、小さな町がいくつか集まったりして、平成の大合併は進みました。宍粟市も同様です。合併からこれまでの間、合併した町もそうでない町も、税金の使い方について相当の努力をしてきています。戦後の高度経済成長時代とは違い、お金も人もどんどん増えていくという予測が成り立たなくなったからです。今から30年くらい前は、公共事業をどんどん出すことで、そこに雇用が生まれ、そこで働く人たちが町で買い物したり、食事したりすることで公共事業に直接関わらない人たちも含め、町全体が豊かになっていくという考えが行政の主流だったと思います。しかし、それは通用しなくなったのです。そもそもそのような考え自体が、幻想だったということは歴史が証明しています。
宍粟市は、合併から15年後に地方交付税の優遇措置が終わり、そして合併特例債も使えなくなることで、一般会計で約50億円のお金が減るとわかっていながら、それに合わせた町の仕組みを作れていません。合併から15年という時間は、お金も人も減っていく中でどうやって町を作っていくのか?どんな町を作っていくのか?が、政治の中心的話題だったはずです。何か新しいことをやるためには、何か古いものを捨て去らなければならないというのが基本的な発想です。捨て去らなければならない古いもの…それは、何でもかんでも行政にお任せの補助金依存の発想と、税金に群がるの利権構造です。しかし、ターゲットにされてきたのは、子どもたちと小さな地域です。
過疎化、少子化、高齢化というのが、現在の地方都市の大きなトレンドです。そんな世の中を作ってしまったことは顧みられることはなく、学校や幼稚園、教育関係の施設の統廃合が真っ先に進められてきました。大きな市役所を合併後すぐに建てておきながら、「少子化」だから仕方がない、「財政難」だから仕方がない何てよく言えるものだなと思います。合併市町村が新しい庁舎を建てるのは、合併から10年くらいたって、合併の評価をした上で必要最小限のものを作るというのが主流です。他の自治体では、廃校になった学校を庁舎にしたり、今までの役場を改修したりする例が多いようです。それは当然です。住民から学校や幼稚園なども含めて公共施設を奪ってしまう側の行政が、自分たちの職場だけ立派なものにすることが普通の感覚でできるはずがありません。
しかし、宍粟市は学校や幼稚園が廃止されていく一方で、借金しながら新しい公共施設をどんどん建てています。きっと、学校の改築にも相当のお金を使っていると反論される方もいらっしゃるでしょうが、この先どんどん子どもが減っていくことを予測しながら、子どもが減ったことを住民の責任とでも言いたいような振る舞いをしながら、今までの資産を活用するという発想は全くありませんし、森林と共に生きる町とか言いながら、鉄筋コンクリートで、再利用しづらいものばかりにお金を使うのは、将来を見ていないからです。政治にビジョンがないからです。これはすべてのツケを子どもたちに押し付けながら、公共事業を乱発していることになります。これが、少子化や若者の人口流出に拍車をかけていることに気づかないのでしょうか?そして、公共事業や補助金を出し続けることができなくなること、それが結果として企業、団体の体力を奪うことは、みんなわかっていますが、出す側も受ける側もそれを止められないのはなぜでしょうか?根本的にお金の使い方を変える必要があります。一つの大きな目安は、あと5年で50億円の削減です…。とっても厳しいですが、この道を選択したのはこれまでの政治家を選んできた私たち市民の選択であるとも言えます。政治家だけではなく市民一人ひとりが真剣に考えなければならないことだと思います。
そこで問題になるのは、どうやってそれを実現していくかです。一つは事業の評価を徹底して行うことです。そこには、子ども、若者、子育て世代などの若い市民の協力が必要です。一時期、事業仕分けという言葉が政治のトレンドになった時期があります。あれは、どうしても事業の廃止ばかりが取り上げられ、自分の領分を守ろうとする人たちの結束を高めることになり、それが大きな抵抗となって成果を上げることはできませんでした。しかし、発想は間違っていなかったと思います。現在、宍粟市では何百という補助金、助成金の類が制度化されていますが、力のある人たちのところで集中的に使われています。地元からの要望だからと、特定の地域、団体、個人に税金が流れるような制度が乱立し、政治家の集票に使われているきらいがあります。政治家の主観、口利きによって事業の優先順位が決められており、はじき出されている市民が大多数を占めます。私は、お金の使い方を透明化することで、無駄をなくしていくという意味での事業仕分けが、宍粟市には必要であると思います。透明化されれば、そんなに必要ないだろうと思われるようなお手盛り予算や、一部の人たちの利益にしかつながらないような黒い予算がどんどんと淘汰されていきます。「仕方がない」とされてきた部分に真正面から向き合い、補助金、助成金、負担金を実態に合わせ精査したら、相当の財源が眠っていると考えています。
それを子どもたちの教育、子育て支援、市民活動支援、環境政策など未来予算に配分しましょう。それは宍粟市の創造性、市民の可能性にかけ自立の道を探るということです。子ども、若者、子育て世代、そして障害のある方、病気などを抱えていらっしゃる方などにもっと光をあてましょう。そのためにはもっと、もっとこの層の人たちにまちづくりの表舞台に出てきていただく必要があります。
合併から15年、2020年までに市民の潜在能力を引き出し、仕方がないとされてきたお金の流れを市民の側にグッと引き寄せる必要があります。そのためにはまず、4月末に行われる市長、市議会議員の選挙が重要になってきます。若者の投票率をあげましょう。投票率は若者は低く、高齢者は高いのです。その結果が何をもたらすのか考えなければいけません。そして、自分自身の判断で投票する必要があります。親戚、近くに住んでいる、知り合いに頼まれた、同じ学校出身の市長候補、議員候補が、本当に4年間で、市民の潜在能力を引き出し、お金の流れを変えることができるか考えましょう。
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先週から第8ラウンドに入っています。徐々に反応が見え始めました。こんな感じで最後まで走り続けます。これからもお騒がせしますがご理解のほど、よろしくお願いします。